radsのカンタン!放射線診断ブログ

放射線診断、画像診断の医療画像(CTやMRIなど)についてカンタンに紹介したいと思います。

画像診断レポートの読み方!大公開!③

画像診断レポートがどれだけ一般向けの文書でない、その専門性に気づいてきた方も多いかと思います。

→バックナンバー https://radiologist-rads.hatenablog.com/entry/2019/04/20/173959

 

今回は、ほぼ気にしなくていいはずの病変(良性)について、レポートに描写された場合を紹介していきます。

 

なぜ気にしなくていいものをわざわざレポートに書くのか! ややこしくなるだけ!けしからん!

と思う人もいるかも知れませんが、見えてしまったら報告しちゃうでしょ?というのは半分本当、半分冗談で、「本当に完全な正常とはいえない」モノは、場合によっては症状の原因になることがあったり、ごく稀に悪性腫瘍が発生したり、主治医の先生がレポートを見たときに、かすかなヒントになることがあるかもしれないモノなんです。

前回も申し上げましたが、画像診断医は実際に患者さんを前にしていないので、画像で得られた所見の重み付けが難しいんですね。その所見が要るものなのか要らないものなのかは、主治医の先生が決める。そういうことで、つまり実際には要らないことをいっぱい書いてしまっています(その善悪は今回は議論しません)。

 

それでは具体的に見ていきましょう。

 

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【胸腹部単純CT】

肺:両側肺尖部に石灰化を伴う小結節影や索状影を認めます。陳旧性結核などの炎症後変化を疑います。

右S9に索状影を認めます。炎症後変化や部分無気肺を疑います。

 

左胸膜に石灰化あり。

甲状腺右葉にLDAを認めます。要すれば超音波検査で精査ください。

冠動脈壁に石灰化を認めます。

胸水を認めません。

右肩甲骨背側に径2cmの脂肪性腫瘤を認め、脂肪腫を疑います。

左第6、7肋骨に変形と骨硬化像を認め、骨折後変化を疑います。

 

肝:S4辺縁にLDAを認めます。分布からはthird inflowによる限局性脂肪肝を疑います。

胆:底部に限局性の軽度壁肥厚を認め、内部にはRASを疑う小嚢胞を認めます。胆囊腺筋腫症を疑います。胆泥あり。

膵:主膵管の軽度拡張を認めますが、明らかな閉塞機転は認めません。

脾:LDAを認めますが、嚢胞や血管腫、過誤腫などの良性病変の可能性が高いです。

腎:両側腎にLDAを複数認めます。嚢胞を疑いますが、一部はやや高吸収を示し、嚢胞と断定できません。超音波検査でも確認ください。

副腎腫大なし。

少量腹水あり。

リンパ節腫大を認めません。

骨に異常を認めません。

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うわ〜〜

もはや患者さんが一見して理解できるレベルは明らかに超えており、

主治医でも専門分野でない部分については難解かもしれません。

読むのも大変ですね。

 

このレポートはほぼ問題ないことが90%以上と思います。

何かが見つかったときに、それが、完全に良性の所見かというのを判断することは実はかなり難しい。10年前にもCTを撮っていて、変化がなければ、それはかなり良性の可能性が高いですが、ワンポイント(初めてのCT)では超初期の癌(悪性)と見分けが付かないことも多いということなんですね。

 

不安を煽りたいわけではないです!

これから偶然みつかるような良性病変について解説していきますので、上のレポートを見ても安心できるようになって欲しいと思います。