radsのカンタン!放射線診断ブログ

放射線診断、画像診断の医療画像(CTやMRIなど)についてカンタンに紹介したいと思います。

ラジハ8話 虫垂腫瘍

カンファレンス

技師さんと画像や症例についてカンファレンスすることはあんまりなさそうですけど、どうなんでしょう??勉強会はたまに一緒にやります^^

 

あと、病室はめったに行きません・・・ カテーテル術の前や後に診察や説明に行くことはありますが。。

 

 

bright tree appearance

痙攣重積の2相性脳症

けいれんが、数日後に再発して、その後に脳にダメージが残るというような病態ですね(カンタンに言い過ぎか)

けいれんというのは誤解があるかもしれないですね。けいれんというのは身体が動いてしまうタイプのものでしょうが、英語のseizureには、subclinical(臨床症状が出にくい)ものも含まれるので、脳波で判断したほうが良いかもしれません。

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https://www.childneuro.jp/uploads/files/about/AE2016GL/9ae2016_6aesd.pdf より引用

 

この図のように木のような(tree)特徴的な像を見ます。

 

 

虫垂腫瘍

 

虫垂というのは小腸と大腸のつなぎめである回盲部からミミズのように生えている細い腸管です。

なんらかの原因で感染症が起こり、虫垂炎(いわゆる盲腸)になるので、身近ですね。

でも、虫垂炎と思われて、手術した組織を顕微鏡で見てみると、たまに虫垂腫瘍が混じっています。

 

虫垂はふつう4mmくらいの幅ですが、8mm程度になると、腫大といって、虫垂炎の疑い、ということになります。

虫垂炎は本当に多いので、とりあえず虫垂炎として治療されることがありますね。

 

虫垂炎は、炎とついているとおり、炎症が起こっているので、虫垂の周囲に炎症波及がみられます(dirty fat sign)。周囲の脂肪はCTでは黒い(グレー)ですが、炎症によって、好中球とか滲出液とかが脂肪内に介在することになるので、濃度が上がって、グレーになります(dirty fat sign)。MRIでは脂肪抑制T2強調像で高信号になります(拡散強調像のb=0画像が似ています)。

でも全員が虫垂の周囲まで炎症が波及するわけではないですし、初期ではわかりにくいこともあります。

虫垂炎の原因は、糞石という、腸の中の石(うんこが固まったもの?)が虫垂に詰まって起こることがあります。虫垂は細いですからね。小児はこれが原因のことが多いです。

破裂すると、腹腔内膿瘍を作り、死亡率もあがります。

 

鑑別疾患としては、

・虫垂腫瘍

虫垂には、たまに、腺腫や粘液癌が発生することがあります。粘液を産生する腫瘍なので、水っぽくなります。つまりT2強調像で高信号になります。虫垂腫瘍が破裂すると、粘液産生細胞が腹腔内に散らばり、いろんなところで粘液をつくる腫瘍が増えてしまい、全て摘出することが難しくなります。この状態を偽粘液腫といいます。なかなか治療に難渋します。

・回盲部憩室炎

虫垂と近い部分の大腸にある憩室(大腸の小さいでっぱり)で炎症が起こるものは見間違うことがあります。こちらは手術が要りません。

・虫垂憩室炎

虫垂にも憩室があることがあります。その憩室で、炎症が起きると、あたかも虫垂炎(虫垂に炎症があるのは間違いないが)のようです。

・虫垂憩室穿孔

虫垂炎穿孔(破裂すること)と間違われるのがこの疾患です。虫垂に炎症はないものの、憩室に穴が空いた場合ですね。

・腹膜垂炎

腸管からぶら下がっている腹膜垂という組織がねじれたり、っていうことで炎症になることがあります。

・大網梗塞

大網は胃の前にタレている脂肪のネットみたいなものですが、けっこう下までタレ下がることがあり、右下腹部痛になることがありますね。大網の動脈を追っていき、大網を同定することで、診断に至ることができます。

 

 

研修医制度

けいれんにはジアゼパム、酸素・・・・と全医学生が知っていますが、急なときにハキハキ指示するのは、慣れていないと意外と難しいですよね。

かぶらぎ部長は、おそらく、医学部卒業後、研修医制度がなかったためすぐに放射線科で研修を開始していると思うので、もしかしたらジアゼパムを注射した経験ないかもしれないですね?