画像診断レポートの読み方!大公開!②
前回では、画像診断レポートは、患者さんではなく主治医に向けた文書である
ということについて確認してみました。
画像診断レポートの具体的な例を見ながら、読み方を考えていきましょう。
ーーーーーーー レポートの一例 ーーーーーーーー
【腹部単純CT】
(所見)
肝:SOLを認めません。
胆:n.p.
膵:n.p.
脾:n.p.
腎:n.p.
副腎:n.p.
リンパ節腫大を認めません。
腹水を認めません。
(診断)
W.N.L
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はい、到底 患者さん自身に読んでもらうことを目的としていないことが分かるかと思います。
ちなみに、この所見は全く異常が見当たらないという意味のレポートです。
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【腹部単純CT】
→造影剤という薬の使用の有無。単純CTっていうのは造影剤を使わない、ということ。
(所見)→画像でみつかったものを描写する欄。
ここから臓器別に異常の有無を書いていきます。
肝:SOLを認めません。
→space occupying lesion:占拠性病変。肝臓内に異常な腫瘤がない、という意味。
読影レポートでは「あり&なし」より「認める&認めない」を多用します。《画像に100%はない》せいでもありますが、画像だけでは診断できないことも多いので100%あります!とは書かないのです。あとは、「〇〇がない」と書いてしまうと画像に写らなかっただけの、実際にはあるかもしれない病変のことを誤解させてしまう恐れがあります。(例えば、胸水や腹水などは、生理学的にはほぼ必ずあるはずなので、画像で見えないだけで、無いわけではない。他にも、腫瘤になる前の細胞レベルの癌は画像には写らない。ただし結構適当な気がする)
胆:n.p. → nothing in particular / nothing particularly: 特に何もない、という意味。
胆は胆嚢のこと。
リンパ節腫大を認めません。→ リンパ節というのは全身のリンパの流れの中継地みたいなものなのですが、炎症や、腫瘍などがあると腫大してきます。細長い球;ラグビーボール型なのですが、だいたいで言えば、短径10mmを超えると異常なことがあります。
(診断)W.N.L →within normal limit :正常範囲内、という意味
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全く正常でも理解に苦労するかもしれません。異常があれば尚更ですね・・・
次回は、異常がある場合の、よくある文言を紹介したいと思います。