radsのカンタン!放射線診断ブログ

放射線診断、画像診断の医療画像(CTやMRIなど)についてカンタンに紹介したいと思います。

ラジハ2話①レントゲン ②リフラウメニ

ラジエーションハウス2話!

面白くなってきました!

 

今回も解説していきたいと思います!

 

それにしても子供としゃべるときの五十嵐さん、たどたどしくなく、かなり饒舌(笑)

① レントゲン = 単純X線

X線を当てて、フィルム(今は電子的ですが)を現像する、いわゆるレントゲン写真ですが、

健診では胸部、

怪我をしたらその部位の写真を撮る。近くの診療所でもできる比較的カンタンな検査ですね。

 

一般に、X線を発見した、ヴィルヘルム・コンラート・レントゲン(Wilhelm Conrad Röntgen)博士の名をとって、「レントゲン写真」と言いがちですが、

院内では「単純X線」や「一般撮影」などと呼ばれています。

 

X線は身体を貫通するんですが、身体を通って出てくるときに、、その通り道によって、弱まるんですね。

基本的には、密度が小さいもの(空気など)の中は通りやすく、

密度が高いもの(骨や金属など)の中は通りにくいため、

ほぼ空気である肺や、ほぼカルシウムである骨がよく見えます。

 

 

ですがCTやMRIが台頭していることからもお察しのとおり、

単純X線でわかることは非常に限られていると言っていいでしょう。

そう、腹部単純X線(お腹のレントゲン写真)を撮影しても、副腎皮質癌(腎臓の隣りにある副腎にできる癌)も、膵尾部腫瘤(膵臓の尾っぽのところにできたできもの)もどちらもみえません。

 

膝に骨肉腫があっても、とてもわかりにくいこともありますし、撮影の方向によっては骨折も見えないこともよくあります。実は。

でもいちばんカンタンに検査できる画像検査のひとつなので、ひとまず撮影してみる価値はあります!

 

 

②Li-Fraumeni(リ-フラウメニ)症候群

遺伝的に家族性に、しかも若くして「がん」ができてします。

肉腫、乳がん、脳腫瘍、白血病、副腎皮質癌などですが、とくに肉腫や副腎皮質癌など珍しい腫瘍が家族性に発生している場合は疑いやすい症候群です。ただ、非常に非常に稀です!今回のドラマではカルテに「副腎皮質癌の既往、家族に白血病」とあったので、クイズ的には「Li-Fraumeni!」と叫んだ放射線科医がいたことでしょう。。

生物学の勉強をされている人なら、p53という遺伝子をご存知でしょう(がんを抑制する遺伝子)。これが異常になると、がんができてしまう、という機序ですね。

ひとつ腫瘍を治療したとしても、そもそも腫瘍ができやすい体質なため、今後、他の腫瘍ができてしまう可能性が十分にあります。

 

アンジェリーナ・ジョリーはBRCAという乳がん卵巣がんができやすい遺伝子変異があったため乳房を予防的に切除しましたが、Li-Fraumeni症候群でも、予防的に乳房切除をすることがあるようです。

 

こういう珍しい病気は、既往歴(過去になんの病気をしたのか)をきちんと伝えないと、ヒントがないため診断にたどり着くことは困難です。