radsのカンタン!放射線診断ブログ

放射線診断、画像診断の医療画像(CTやMRIなど)についてカンタンに紹介したいと思います。

ラジエーションハウス1話②造影剤アレルギー

続きまして、

 

②造影剤アレルギー

ってなに!?

 

劇中で、『造影剤を使います!』『アレルギーがあるんだ!』『うちの評判を落とすことになるところだった』

 

などと大げさに言われる造影剤アレルギーですが、

実はほんとに割と大げさな問題なんです!!!

 

●まず造影剤というのは、

血管の中に、画像によく写る薬剤を入れることで、『血管 (など )がよく見える!』というものです。

身体にX線 (放射線 )を通して作られた画像である単純X線 (いわゆるレントゲン )や、CTでは、

ざっくり言えば、密度が濃いものが白、薄いものが黒く写ります。

骨は重いから白、空気は軽いから黒

そんなかんじです。 (本当はそれだけではないが )

 

つまり身体を写しても、軽い順に、

空気、脂肪 (油は水に浮く )、水、肉、骨

この5種類が見分けられる程度です。

 

つまり血管はあんまりちゃんとみえない!

劇中では、脳動脈瘤が切迫破裂 (破裂しそう )になっていると思われているので、血管をみたいのですね。

 

●そこで、造影剤を血管に入れる!

と、血管が写るので、血管の形がわかるんです! (血管の内側にある造影剤が見えるだけ )

 

動脈瘤は破裂すると1/3死亡、1/3後遺症、1/3回復などと言われている重病です。

 

破裂してるとか、瘤の形とか調べたい。

次の治療のために!

 

●造影剤アレルギー

造影剤はヨード (ヨウ素 )を含むドロドロの液体で100mlくらいを急速に静脈内に投入することになります。 (CTの場合 )

 

人は、 そば やラテックス、薬など、何にでもアレルギーが出る可能性がありますが、

もちろん造影剤にもアレルギーが出ることがあります。

 (アレルギーではなくヨード自体の毒性という機序もあり、詳しくはまだわかっていないこともあるのですが 。ちなみにそれはphysiologic reactionといいます)

 

●造影剤アレルギーでは、だいたい1/40万人で死んでしまいます!!

数万人に1人は入院するほどの副作用が出ます。

喘息があると10倍出やすい。また、過去に酷い造影剤アレルギーがある人は繰り返しやすいようです。

 

つまり、造影剤アレルギーがある人に、造影剤を使うのはふつう躊躇します。必要な場合はもちろん使わざるを得ないこともありますが。

 

治療で人が亡くなる場合は「まだ」納得できるかもしれませんが、

なかなか検査だけで死亡となると納得いかない人も多いのではないかと思いますね。

びっくりですし、かなり辛いと思います。

 

劇中でも使わずに済んでよかったな〜とホッとしました。