ラジハ3話 デンスブレスト
五十嵐くん有能すぎぃ!
たしかに彼が職場に居たら、助かる気持ちもありますが、修行中の放射線科医(いやベテランもか)は爆死します笑
①デンスブレスト dense breast
まず、乳癌は日本でも最近どんどん増えています。
欧米ではとくに多く、食文化?体格?のせいなんでしょうか。とにかく多いというのと、
やはり欧米は、女性の権利や生活に対しての意識が早くから成熟していたために、かなり力を入れて乳癌に取り組んできたようです。
そのため検診の体制や、その方法なども欧米が軸になって作られてきました。(まあなんでもだいたいそうなんですけど)
ご存知のとおり、日本人は欧米人とは体格などが遺伝的に異なる部分が多く、
従って、欧米の基準が全て当てはまるわけでは到底ありません。これは乳癌だけでなく、さまざまな分野で違いがわかっています。(教科書には欧米人、とくにユダヤ人に多い病気などがよく載っています。むかしからよく研究されていることも理由でしょうが。cystic fibrosisやNiemann Pick病などは日本ではかなり珍しい病気ですが必ず教科書に出てきます)
脱線しましたが、マンモグラフィはもちろんスタンダードではありますが、日本人女性には適さない場合があるということなんですね。
これはマンモグラフィの教科書の最初の方に書いてあります。
乳腺組織にはその密度によって
・脂肪性
・乳腺散在
・不均一高濃度
・(極めて)高濃度
というふうに分類され、後者2つが、デンスブレスト(高濃度乳腺、高濃度乳房)と言われます。
普段読影していると、「不均一高濃度」がなんと多いことか。
デンスブレストの乳腺ではマンモグラフィーで 癌が正常の乳腺に隠れてしまい、指摘できないことがあります。
そうでなくても、X線を透過させて作った投影像なので、完全な診断は容易ではなく、
触診やエコー検査(超音波で内部を観察する)などと合わせて診断していきます。
画像診断全般に言えることですが、
①画像で何かが写った→何かはある可能性が高い
②画像検査で見つからない→画像で見えないだけ、のことは まあまああります。
存在診断(あるか ないか)においては、
①特異度は高い(画像であれば実際にある)
②感度は低い(画像で見えなくても実際にはあるかも)
ということですね。
こうして検査の解釈というのは慎重に行われるのです。